分子軌道法
化学結合とは、二つの原子の間を周回する電子が特定の動き方をする結果、二つの原子核の距離がある一定の距離に留め置く力が発生したため生じます。この電子挙動の違いにより、イオン結合、共有結合、金属結合といった結合の性質の違いが発生します。 分子全体にわたる電子の状態(正確には、分子全体に広がる一電子空間軌道関数)を分子軌道といいます。分子軌道に基づいて分子の構造や特定の配座のエネルギーを求める計算方法を分子軌道計算といいます。電子状態を示すシュレディンガー(Schrödinger)の導いた式、いわゆるシュレディンガー方程式を解けば、分子軌道は分子の物性の本質であることから、、正確に解けば結合の強さや分子の色さらに反応性といった物質のあらゆる性質がわかります。水素原子は電子が一個であるため正確にシュレディンガー方程式を解くことが出来ますが、ヘリウム原子でさえ近似なしに厳密に解くことはできません。したがって、炭素原子をもつ有機化合物をこの方法で解析することは不可能です。 実際の分子構造を分子軌道法で求める場合、何らかの工夫、近似法が必要になります。近似法の考え方により、ab initio分子軌道計算と半経験的分子軌道計算に分けられます。 |